独走 同馬 瞬一
この本を読みながら、漫画では、「奈緒子」、長距離の話。
小説では、「一瞬の風になれ」、短距離の話。
そういえば、野球ではあるが「バッテリー」という小説の話を思い出した。
ずば抜けた天性の才能を持っているスポーツ漫画である。一瞬の風はそうでもなかったかもね。とくに、雰囲気などが、「奈緒子」の主人公と重なる部分は多々あった。
長距離の天才児はそんな感じなのだろうか、たしかに、天才児はピッチ走法ではなく、ストライド走法というイメージがある。
話の中身は、Olympicでメダルを狙える人を、国がかりで莫大なサポートをするという話が根本にある。ちょっとサポートしすぎであることが現実感はない。そして、サポートがすごすぎるため、途中で断念することで莫大な借金が残るというのも現実感がない。ここはちょっと短絡的で話を壊している気がした。
興味深いことは、走ることの天才児の考え方だ。僕は人が喜んでもらえること(もしくは、他人にうらやましいと思えるようなこと)をやることが好きな凡人である。そのため、最近は、こんなに人の目を気にして、他人のために生きているのでないかと感じることさえある人間だ。ここでの主人公はそうではないらしい。純粋に好きなんだ。でも、いくら好きでも、周りの人が見向きもしなかったらやりたくなる気がする。自分自身で本当に目標を見つけ、それを純粋にクリアしたいと思う人間は、自分を追い込んでいけるかもしれない。
こういう人は本当にいるのだろうか?-->いないと思っている。だから、現実感がないという気がしたが、本当にいるのだろうか、という気もしてしまう。
駅伝の山の神、柏原とか、一時期、こんな感じだったのかな?
野球界では、イチローかな。
直木賞をとった「何者」
現代の学生たちの就職活動を通して、いろんなタイプの学生さんたちの生活を描いている。裏アカウントで、ツイッターでいろんなことをつぶやくところが、現代の若者に共感するのだろうか。。。
人を採用するというところに加わることもあるため、学生さん目線でなく、雇用者の目線で見てしまう。その中で、学生さんってこんなこと考えているんだっという発見がなかったので、面白いとは思えなかった。
遺作 約束の海
沈まぬ太陽、大地の子などはよんでいたが、よんでいない本も多々ある。
こんど、遺作の約束の海を遺作と気づかずにこういう本があったんだと読みはじめてしまった。
自衛隊とは、日本にとってどんな存在だ。
日本は、どんな状態なのだ。
と、考える時期にきていることは確かだ。この本を読んだら、自衛隊なんかいらないなんといえないと思う。めちゃくちゃ迷っている国を一生懸命に守ろうとしている自衛隊の職業が美しく感じた。しかし、潜水艦くにしおの海上自衛隊員が漁船への事故へのかかわりがある一部で終わってしまった。この事故で、自衛隊の意義を考えるきっかけになっている。実を言うと、この自衛隊員のお父さんは、太平洋戦争で初めてハワイへの攻撃の際の人間魚雷系の人で、初めての捕虜になったひとという設定である。2部から、このお父さんがどのような生活を捕虜生活で送るかという話になるようであったが、見ることはできない。その後は、構想しかなかった。これは確実に大作になったろうな。山崎豊子さんは、すごいパワーだな。まだまだ、生きていたら、すごい作品を作ったと思う。もったいない。としかいいようがない。
村上海賊の娘の感想
あまり、面白くなかった。
歴史ものは基本的に好きなのだが、感情移入できなかった。
人の命が軽かった時代でも、戦争の矛盾は気づくのではないか?
主人公の行動に心は打たれなかったなぁ。
僕は、好戦的な人ではないのであろう。
2016年本屋大賞第1位! 宮下奈都『羊と鋼の森』
一生懸命とはどういうことかという答えを教えてくれる気がした。僕がどうしても思ってしまう「才能とはやり続けることである」ということを、いろいろな角度で話してくれるいい小説だった。センス、才能という言葉で片づけるのではなく、ひたすら、できることをやっていく、やる勇気を持つことが重要なのだろう。凡人な僕が仕事をやり続ける勇気を与えてくれた。
印象の場所ーー
外村君の言葉、「僕は、お客さんに恵まれているなと思いました」
先輩の返答「外村くんは特別ななにかにめぐまれているわけではない」「お客さんとか、先輩とか、せいぜいその程度だろう」「つまり、外村君の実力だよ」
「些細な手がかりからピアノに最適な音を見つけることができる。突拍子にもないことにも気を付ける。その最適な音を見つけるための方法はミスリードかもしれない。でも、それを間違ってもやることが調律師の仕事なんだと思う」「自分がなにをすればいいかわからない。だから、最初は意思。やれるかどうかだ」
「調律に答えはない」-ー>「どんな仕事のやり方に答えはない」ですね。
「絶対にいい音はない」ー>「絶対という仕事の方法もない」ですね。
いろいろ心に響く言葉があった。